2011年7月22日金曜日

タオンガのリレー

マオリ族には、「ハウ」という霊的贈り物の概念があります。


「仮にあなたがある品物(タオンガ)を所有していて、それを私にくれたとしましょう。
あなたはそれを代価なしにくれたとします。
私たちはそれを売買したのではありません。
そこで私がしばらく後にその品を第三者に譲ったとします。
そして、その人はそのお返し(ウトゥ)として、何らかの品(タオンガ)を私にくれます。

ところで、彼が私にくれたタオンガは、私が始めにあなたから貰い、
次いで彼に与えたタオンガの霊(ハウ)なのです。
(あなたのところからきた)タオンガによって私が(彼から)受け取ったタオンガを、
私はあなたにお返ししなければなりません。

(……)

それをしまっておくのは正しいとは言えません。
私はそれをあなたにお返ししなければならないのです。
それはあなたが私にくれたタオンガのハウだからです。

この二つ目のタオンガを持ち続けると、私には何か悪いことが起こり、
死ぬことになるでしょう。

この文章は、モースの「贈与論」の中で述べられたものです。


誰かから何かをもらい、自分はそれを誰かにパスをする。

そして自分が渡した相手から返礼が来たとき、初めて自分がパスしたものが
贈り物であったことに気付く。

僕たちは、その連鎖で生きています。


それなら?

僕は、返礼を気づくことができない人間だったように思います。

与えられることが当然で。

返礼を受けることも当然で。

生きることはもちろん当然で。

いつからそうなってしまったんだろう。



あの日、かけてくれた言葉が返礼だったと気づいて、僕は情けなくなった。

このタオンガを、誰かに渡さなくちゃ。


みんなも、受け取ったタオンガは、大事に誰かに渡してください。

0 件のコメント:

コメントを投稿