2011年8月6日土曜日

人道的なパラドックス



産経新聞の、数日前の記事にあった写真です。

突然ですが、これはなんの写真でしょうか。


きれいなお部屋。

一見すると、ホテルの一室のよう。

そこまでいかなくても、マンションやアパートのお部屋みたいだ。

……

数日前、ノルウェーで連続テロが起きた。

ノルウェーの自然豊かでのんびりとした街で、突如として起きた無差別乱射事件。

90人以上が犠牲になった。

当初イスラム系過激派の仕業だとも疑われたこの事件の真相は全く逆で、
犯人は「反イスラム」を主張するアンネシュ・ブレイビクだった。

ブレイビク容疑者は、
「多文化主義をやめないと、西欧におけるイスラムの植民地化をくいとめることができない」
と主張し、イスラム移民に対する反感を表した。

僕は、テレビのニュースで事件を知った。

「これは必要なことだった」と悠長に述べる容疑者に、失笑した。

君、こんな極悪犯罪なんか犯したら、自分だって刑務所入りか死刑だろう?と。

僕の考えが浅はかであったことに、翌日の新聞で知る。

……

実は冒頭の写真、刑務所なんです。

ノルウェーの刑務所。

死刑制度や終身刑がないノルウェーで、「人権への配慮」を基に建設されたという。

日本の死刑制度は、世界的に見たらマイノリティだ。


この刑務所、液晶テレビやシャワー室、机なども取り付けられており、
さらには共同の台所や談話室まであるという。

写真を見ただけでも住み心地がよさそうだ。

ブレイビク容疑者も、こんな豪華な刑務所に入れられると知っていてテロを起こしたのであれば、
「必要なことだった」とでもなんとでも悠長なことが言えるだろう。

……

「人道的」とはなんなのだろうか。

「社会的」とはなんなのだろうか。

昔から、犯罪者に対する刑罰の仕方には様々な議論があって、答えも出ていない。

かたや死刑制度の国があり、北欧のとある国ではパラダイスである。

何十人という人間を殺害して、こんな豪華な部屋で過ごしてもらうのが「人道的」なのだろうか。

それでも「死刑制度」よりは「人道的」なのだろうか。

今回のノルウェーテロは、そのことを改めて考えてみるいい機会かもしれない。

もしかしたら、この事件を契機に、ノルウェーでの犯罪が増えるだろう。

そうなる前に、もう一度テロリストの処置について検討すべきである。

……

最後に、日本人には理解しがたい宗教概念について触れておきます。

最近、ちょうど「イスラームとは何か」という新書を読んでいたのですが、そこにヒントがありました。

イスラームというのは、「発生と広まりが西欧人には信じがたい宗教だ」とまとめることができます。

イスラームが生まれたのは7世紀ごろ。
ムハンマドが「預言者であると自覚」し、アラビア半島から始まった宗教でした。

そのときまでに文明が栄えていた国としては、イランにはアケメネス朝ペルシャ、地中海には古代ギリシャ、古代エジプト、ローマ帝国などがあげられます。

アラビア半島から世界宗教が生まれる要因は、何もなかった。
当時、まだアラビア半島には、文明のかけらなど微塵もなかったのです。

そんな空白の中から突如イスラームは誕生し、信徒を徐々に獲得していき、ひいては世界宗教にまで上り詰めた。

それが、イエスを崇拝するキリスト教徒の反感を買ったということは、想像に難くないでしょう。

そしてその感情が、現在まで根付いているのです。

私たち日本人は、宗教をそこまで深く考えていないタイプだと思います。

そのことについても、ある程度考えがまとまった時に書きたいと思います。


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